きみとベッドで【完結】

他人から聞く話だけでは足りないのだと、


先生はそう言いたいのだろうか。



「あたしの話なんか……」


「話したくないことの方が多いのかもしれないけどな。それでも俺は、全部知りたいんだよ。
おまえの過去と、いまと、これから。全部だ」




あたしの全部。



ちっぽけで、生まれた意味も持たないあたしのすべてなんて


たかが知れてる。



そんなものを知りたい?




「おまえが嫌でも、俺は知りたい。おまえを守りたいと思うのも、俺のただの欲だ。
結婚したいと思うのも……おまえの1番でありたいと思うのも」



「あたしの、いちばん……?」



あたしと同じように、先生も願っていたの?



誰かのいちばんになりたいって。



あなたの、いちばんになりたいって……





あたしはおそるおそる、



広い背中に手を回した。

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