きみとベッドで【完結】

彼女の飲みかけのココアに手を伸ばす。


ひとくち飲んでみたが、やはりひどく甘い。




飼い猫になった黒い猫が眠るまで、俺は色々な質問をした。



なぜココアにそんなにこだわるのかとか。


なぜ俺のことも傷つけようとしたのかとか。


本当の出会いはいつだったのかとか。



俺の胸の上でまどろんでいた彼女は、


意識してかしないでか、まともな答えはくれず。



ただ微笑んで返すだけだった。




まあいい。急ぎはしない。


ゆっくりと、彼女のすべてを知られれば。



その為になら、俺はすべてを捨てようと思う。


まずは教師という職だ。


有名な進学塾で働く友人に、講師にならないかと熱心に誘われていたから、


そっちに行くのも悪くない。



そうやってこれからのことを考えていたら、


俺もだんだんと眠くなっていった。





「おやすみシキ。愛してる」




白い額にキスをひとつ落とし、



俺もゆっくりと、目を閉じた。




















END
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