きみとベッドで【完結】
俺はこの時はじめて、
きみがその細い身の内に、重たく暗いなにかを飼っていることに気づいた。
ただ、ふらふらと遊び歩いているのだと、
この時まで俺は思っていたのだが。
たぶん、そうではなかったんだ。
家のない、金もない、家族もない、なにもない、美しいシキ。
なにかから、逃げているのか。
なんとなくそう思った。
だったら、俺のそばにいればいい。
この狭い部屋を逃げ場にして、俺に守られていればいい。
野良じゃなく、
飼い猫になるのもきっと、悪くない。
そう、思わせてやりたかった。
それから、蒸し暑いのに寒いと言い出したシキに、いつものようにココアをいれて。
小刻みに震える体を、しばらく抱きしめた。
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