きみとベッドで【完結】
だってこれまで、
あたしが男に料理作るなんてこと、なかった。
先生にお弁当まで作ってる自分に、
どんな良妻だと笑いたくなるくらいだ。
「ちゃんと食べてる? 行くとこないなら、また俺の部屋においで」
「行かない。あんたとはもう寝ないって、何回も言ってるじゃん」
「残念。嫌われたもんだねぇ、俺も」
苦笑しながら、幹生は冷えたグラスをカウンターに置く。
嫌ってなんかない。
その逆だよ。
そんなこと、わざわざ言ってやらないけどね。
「でも本当に。嫌なら俺は家に帰るから。いつでもここの上は使っていいよ」
この店の上の階は、事務所兼幹生の部屋になっている。
以前あたしはその部屋で、一時期生活していた。