きみとベッドで【完結】
泣いたり、するものか。
「シキ?」
「……ん。なんでもないよ」
あなたの言葉は時々、
冷えきって固まった、あたしの心を大きく揺さぶる。
あなたにそんな気はないとわかっていても、
あたしはそのたび、あなたが憎らしくて、愛しくなる。
「星次さん」
ベッドの中でだけ。
この狭いシングルベッドの上でだけ、あなたを“星次”と呼ぶことを、
あたしはあたし自身に許した。
かりそめの幸せは、
あとで傷を残すことになるだけだと、わかっていながら。
呼ばずには、いられなかたの。