きみとベッドで【完結】
俺がカップを受け取らずにいると、
シキは手を引っこめた。
「じゃあ、これなら?」
カップを口につけて、それから……
「ん……」
俺の唇に唇を重ねてきた。
唇のすきまから、するりと甘い液体が流れこんでくる。
いつも俺がしていることを、彼女はそのまま返してきた。
こくりと俺が飲みこむと、唇が離れていった。
「おいしい?」
「……甘い」
「そんなのわかってるよ」
くすくす笑って、ココアを飲むシキ。
どうやら、怒ってはいないようだ。
甘ったるさが口に広がったが、
不思議とすとんと心が軽くなる。