きみとベッドで【完結】
そしてその客を、この節操なしが時々お持ち帰りしていることも、
あたしは知っている。
ああ、でも。
節操なしなのは、あたしも同じか。
あたしの方が、ひどいくらいかもしれない。
「シキの彼氏はまだ?」
「うん。……来ないかもね」
それはただ、まだ足りないということ。
落ちこむことでも、悲しむことでもない。
別にあたしは、なにも変わらない。
「来なかったら、俺がちゃんとなぐさめてあげるから。心配しなくてもいいんだよ?」
「うざい」
「ははは。つれないなぁ。よし、そろそろ時間だ。準備しようか」
「うん……」
幹生にうながされて、
あたしは1つ空席のある薄暗いフロアをあとにした。