きみとベッドで【完結】
演奏が終わると、フロアに拍手が満ちる。
はっと短く強く、息を吐きだした。
急に心臓がどきどきと激しく動き出す。
ああ、やっぱり緊張していたんだ。
あたしは少し笑いながら、サックスを幹生に渡した。
「幹生。これお願い」
「あ。ちょっと待ちなさい」
すぐにステージを降りて先生のところに行こうとしたのに、
幹生にしっかり腕をつかまれる。
幹生はあたしをステージから降ろして、客席に背を向けた。
「おまえね、なんつー奴を連れてくるんだよ」
「は?」
「あれ、うちのアンドレじゃないの」
「アンドレ?」
あたしに外人の知り合いなんていない。
……ああ、1度だけよその国の男と寝た覚えもあるけど。