きみとベッドで【完結】
「先生」
煙草に火をつけている先生のもとに駆け寄って、
その隣りに座る。
「来ないかと思った」
「悪い。でも、間に合っただろ?」
「あれは遅刻っていうんだよ。どうだった?」
「驚いたな。うまいじゃないか」
先生の乱れた髪を、直してあげながら、
あたしは顔を近づけた。
「惚れちゃった?」
「惚れなおした」
薄暗い店内で、内緒話をするように顔をと体を寄せあって、
親密な空気を作りだす。
誰も入ってこられないように。
先生が、あたしだけを見るように。
「すごい客だな。みんなおまえ目当てか?」
「まさか。あたしは数合わせとか繋ぎだよ」
しれっとそう言ったけど、
半分嘘、半分本当。