きみとベッドで【完結】
かいがいしい。
あたしではなく、楽器たちに。
幹生はあたしとちがって、本当に音楽が好きなんだ。
いつか、
この男の組んでいるロックバンドのライブに、行ってやろうと思った。
オーナーたちに挨拶をして、足早に店を出た。
むし暑さがじとりとあたしの体を包む。
階段を上がっていくと、
ガードレールに寄りかかって、煙草を吸っている先生がいた。
本当に、絵になるくらいイイ男。
見惚れていたら、先生があたしに気づいた。
笑顔で歩み寄ろうとした時、
「シキ」
幹生があたしを追って、階段を上がってきた。
真っ赤なバラの、花束を持って。
「なに? ……バレたらまずいんじゃないの?」
「バレないっておまえが言ったんだよ?」
幹生はおかしそうに言って
花束を差し出してきた。