きみとベッドで【完結】
濃厚な甘い香りが、軽いめまいを呼ぶ。
「……なに、これ」
「今日のドレスにぴったりでしょう。大丈夫、ドレスより花より、シキがいちばん輝いてるから」
甘い声に思い切り顔をしかめる。
冗談なのかなんなのか
この嘘つきの真意はよくわからない。
薄く笑いながら、幹生はあたしの耳に唇を寄せた。
「Happy Birthday」
短い祝辞に、あたしは目を見開く。
なんでそれを……
くすりと小さく笑って、幹生はあとはなにも言わず、
コンクリートの階段を降りていく。
まったく、やっぱり勝てる気がしない。
あたしがため息をついたのと同時に、
店の扉は静かに閉じられた。
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