きみとベッドで【完結】
見上げたまま、シキが小さくため息をつく。
「見えないね、星」
「星?」
「はやく先生んち帰ろうよ。あの部屋からならもう少し、見えるからさ」
シキは細い腕を俺の腕にからめてきた。
「今日は七夕でしょ。星に願いごとしなきゃね」
「願いごとなんて……」
「あるでしょ。願いがない人間なんていないんだよ」
自信ありげにそう言いきられて、俺は考えた。
俺の願い……
「小さくても、大きくても、あるはずだよ。人間はそれがないと、生きてけないんだから」
「じゃあ、おまえにもあるのか?」
「あるよ。……秘密だけどね」
そう言って笑うシキの横顔は
いまにも泣きそうなものに見えた。