危険な誘惑にくちづけを
「……え?」

「だから。
 春陽ちゃんが、何にも代え難く大好きだから。
 なんとしてでも縛るし。
 危険だと思えば、オイラ。
 自分のカラダを張ってでも、絶対春陽ちゃんを、守る。
 ……さすがに、犯罪者相手なんて、すっげーコワいけど」

 そう、言って。

 真面目に決意を新たにしたように、佐倉君はわたしの顔を覗き込んだ。

 確かに、そういう佐倉君にウソはなく。

 わたしを縛るところは、ものすごく汚くても。

 すがすがしいほどに、まっすぐで一途な瞳がわたしを見る。

 言ってることも、やってることもめちゃくちゃで、不安定だけれども。

 佐倉君なりの『真実の愛』がそこに、あった。

「だから。
 オイラ、春陽ちゃんについてく。
 それとも……今の話も、ウソ?」

「……ウソ、なわけじゃ……」

「……じゃあ、きまり、だね。
 春陽ちゃんが行くなら、オイラも、行って『薫ちゃん』とやらに会ってみるよ」









 
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