危険な誘惑にくちづけを
 わたしの部屋からいなくなり。

 部屋の合カギも特に貰ってなく。

 紫音の実家になんて、とんでもなく行きづらいことを考えると。

 わたしに出来ること、なんて、決まってしまう。

 それに、何よりも。

 佐倉君と二人きりで居なくても良いコトにほっとして、すぐに返事をした。

 初対面のヒトと一緒って緊張するけど。

 この際、贅沢なんて、言っていられなかったから。

「判ったわ。
 薫ちゃんは、紫音の行方をお願いね?
 それで、薫ちゃんのお友達は……?」

 わたしの言葉に、今度は薫ちゃんが頷いて、公園のブランコに乗っているヒトを呼んだ。

「……スィン?」

 って外国人!?

 ま、まぁ日本に慣れてないって言うんだから、そういうコトだったんだろうけれども。

 実際に、近寄って来たコを見て。

 正直……腰が引けた。

 だって。

 薫ちゃんに呼ばれてきたそのコは……

 いえ。

 その人は。




 ……どう見ても、男の子だったから。
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