危険な誘惑にくちづけを
 クビをかしげるわたしに。

 薫ちゃんは、恥ずかしそうにほほ笑んだ。

「……まず、スィンちゃんは、あたしの『お友達』じゃないのよ」

「……え?」

 わたしが驚いたのは。

 薫ちゃんが、わざわざ日本まで連れて来たヒトを『友達じゃない』って言ったから、ばかりじゃなかった。

 ホスト時代だったら、お客さんや、紫音に。

 いくら、何をからかわれても。

 さらりと笑ってかわしていた薫ちゃんが、なんだか真っ赤になってるトコロだ。

「ちょっと……その。
 照れくさいけど言っちゃうと……
 スィンちゃん。
 あたしの大事なヒト、で」

「へえ。
 じゃあ、お友達じゃなくて。
 おホモだちなんだ」

 ……!

 また、佐倉君が失礼なコトを!!

 心配になったわたしが、こっそり薫ちゃんをうかがうと。

 薫ちゃんは、佐倉君のコトの言動をもう。

 いちいち気にしないコトに、決めたらしい。

 軽く肩をすくめて言った。

「だから、大抵のヒトはまず、ソコを誤解するのよね。
 そもそも、スインちゃん、女の子だし。
 あたし。
 今回の一番の目的は。
 スインちゃんと籍を入れるために、日本に来たんだもの」





 
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