危険な誘惑にくちづけを
 なんか……漫才師の突っ込み役みたいな。

 スインちゃんの外見のからかけ離れた、言動に、半分ずっこけそうになった。

 しかも。

 籍を入れる……って、スインちゃん。

 薫ちゃんのお嫁さんになる予定で日本に来たはずだよね?

 ……なのに、力いっぱい『アホ』!?

 驚くわたしに、スインちゃんは、少し肩をすくめて言った。

「いや、あいつ本当に相当な阿呆やで?
 ついでに、目も悪いんやと思てた」

「薫ちゃんて、特に眼鏡もコンタクトもいらないほど目が良かったはずよね?
 海外に出てから、視力が落ちたのかしら?」

 そう、わたしが聞くとスインちゃんは、ぶんぶんと頭を振った。

「そんな風に目ぇ悪いんちゃう。
 なんせ、いっちゃん最初に出会った時なんか。
 ドロドロに汚れたウチを見て『きれいだ』とかなんとか言いはるし。
 周り中、どばんと胸の飛び出たキレイで、普通に育った姉ちゃんが、ぎょうさん居ったのになぁ。
 誰にも目をくれず。
 いっちゃん面倒くさい昔を持ってる、ウチを選んだ時点でかなり、ど阿呆や」
< 131 / 148 >

この作品をシェア

pagetop