危険な誘惑にくちづけを
前から。
紫音が、その強く輝く瞳を閉じて眠っているときは。
いきなり、若く……というか。
わたしと、そう変わらない年に見えるほど、年齢が下がって見えていた。
だけども、今。
病室のベッドで眠っている紫音は。
最後に会ったときから、そう時間が経っていないのにもかかわらず。
すっかりやつれて、もっと年下の少年のようだった。
「……紫音!」
思わず、そんな。
大好きなヒトの名前を呼んで、近づこうとしたわたしを、黙って止める人がいた。
「放して! 薫ちゃん!
わたし、紫音の側に……!」
「……今はだめだ、守谷。
それに、オカマは、部屋を出て行ってもらった」
……え?
わたしのコトを、守谷って。
薫ちゃんのコトを、オカマって言うヒトなんて……!
てっきり、わたしを引っ張って、止めたのは薫ちゃんだと思っていたのに。
本当の相手を見て、わたしは驚いた。
「……加藤先輩!」