危険な誘惑にくちづけを
「……わたしも……寂しいけれど……
 紫音が……日本に帰ってきたら……
 一緒に……ケーキ屋さん……
 するんだもん……ね?」

 紫音が触るたびに、ほてってくる、カラダの熱を感じながら。

 わたしも、とぎれとぎれに、つぶやいた。

「ああ……そうだな」

 熱い紫音の熱に、浮かされて。

 わたし。

 目なんか、開けていられなかったけれども。

 紫音が、ほほ笑みながらそう。

 言ってくれているんじゃないかって、思う。

 だって。

 いろんなことが起こって、結局。

 教師をしながら、ホスト、なんて、めちゃくちゃな生活を辞めた、紫音が。

 本当は、もっと前からやってみたかったって言う、コト。

『わたしと一緒に暮らして、ケーキ屋さんを開こう』っていう夢のために。

 紫音は、フランスへ留学、なんだし。

 わたしも、無事に高校を卒業して。

 今、紫音に推薦された製菓学校に通ってるんだから。
 
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