危険な誘惑にくちづけを
 

 かちゃ かちゃ かちゃ

 ごしごし ごし




 水島と佐倉君が、ごはんと、パ・トゥ・シャのケーキを食べて帰ると。

 後には山のような、使用済みの食器が残った。

 それを洗うのは、もちろん、わたし。

 おかたづけなんて、好きなわけじゃないけれど。

 紫音がそばにいてくれてると、その……

 し……主婦、になったような気がして、なんだかくすぐったい。

 きゃ~~っ♪

 言っちゃった。

 し、主婦って言ったら。

 旦那さまが紫音で。

 わたしが、その……つ……妻っ!

 わ~~。

 や~~ん、恥ずかしい。

 ど、ど、どうしょう~~。

 アタマの中は、もう、いろんな楽しげな想像が渦巻いていて。

 なんだか、もう、ぐるぐる♪

 洗剤がついて、あわあわのスポンジを握りしめ。

 一人で、くすくす笑っていると。

「楽しそうだな」

 と、紫音に声をかけられた。

「しかし。
 だいぶ、春陽には、皿を出させたし。
 その分、汚れモノが、多くて洗うのが面倒だろう?
 すすぎか、皿拭きを手伝うぞ?」

 そんな紫音の、優しい申し出が、嬉しい。

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