危険な誘惑にくちづけを
「……でも、わたしだけが、悪いわけじゃないもん!」

「意地っ張り」

 頬を膨らます、わたしの顔を、つんつん、つついて。

 水島は、肩をすくめた。

「ねぇ、春陽。
 もし、良かったら。
 気分転換に、これからあたしと、出かけない?」

 その、不機嫌の埋め合わせをしてあげようか?

 って言う、水島の言葉に、わたしは、やる気なく、半分義理で聞いた。

「……どこに?」

「合コン」

 ……は?

 水島の提案に、わたしは、思わず聞き返した。

「……えっと……?」

「だから、合コン」

「いや、いくら何でも~~
 それは……」

 紫音に、一回置いてけぼりをくったからって、そんなにすぐ。

 浮気の元を探しに行く気なんて、無かった。

 それに、今まで。

 本当に、紫音一筋だったから、合コンなんて、一度も行ったコト無かったし。

 ウワサでは、主に、居酒屋で始めるらしい、そのイベントに。

 未成年なのに入るのがちょっと、イヤだった。

「興味ない?」

「無くはないけど、わたし、まだ、お酒飲めないし。
 合コンなんて、はじめてで、ちょっと……怖い」

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