危険な誘惑にくちづけを
裏切りのナミダ
「うわ~~
信じらんねぇ~~!
春陽ちゃんが、来るなんて!」
ものすごく、嬉しそうな、佐倉君の声に。
わたしは、思わず、クビをすくめた。
「や……やっぱり、わたし。
来なかった方が、良かったかも……」
急に、心配になったわたしに。
佐倉君が、にっこにこの笑顔で言った。
「ナニ言ってんだよ、春陽ちゃん!
今日は、オイラと楽しく遊ぼうぜ!」
あれからしばらく、美術室で待ち合わせ時間まで時間を潰してから。
水島に連れて行かれたのは、近所のカラオケボックスだった。
少し寂しい場所にあるけど、歌の種類が多いらしい。
メンバーは、水島の他に、彼女の高校時代のお友達って言う、女の子二人と。
佐倉君と、バイト先の友達の三人。
全員合わせて八人だ。
水島の方は、彼女のお友達らしく。
どのコもさっぱりしてて、イイ子たちだったけれど。
佐倉君のお友達の方が……ちょっと、ね。
佐倉君のトモダチらしい、と言えばそうなんだけど。
どの人も皆、背が高く、壁みたいで……その。
……なんとなく、目つきが悪い……気がする。