危険な誘惑にくちづけを
 


「24番、守屋 春陽、歌いま~~す」



 わたしの、宣言に。

 カラオケボックスに詰めている残りの七人が、わ~~っと手をたたいた。

 なんか、もう。

 楽しいんですけど~~!

 最初感じてた不安がウソみたいだった。

 みんな、遊び慣れてて、盛り上げ上手で。

 カラオケの順番が三周するころには、すっかりわたしもノリノリだった。

 特に。

 コップの周りにお塩がついている、少し変わったミカンジュースを飲んでから。

 もう、絶好調って感じ?

 少し、ふらふらするけれど、ひたすら歌って、笑っていたかった。

「春陽ちゃん~~
 上手~~
 可愛い~~!
 踊って~~!!」

 なんて叫ぶ佐倉君に、ノせられて。

 歌手の振り付けを真似して、歌を叫ぶ。

 気分は、すっかりアイドルで。

 一曲歌って、自分の席についた時には、とっても、ご機嫌だった。

「ささっ!
 春陽ちゃん、ジュースをどうぞ♪
 のど、渇いたっしょ?」

「ありがと~~」

 次に歌う番の水島に、マイクを手渡して。

 マメに面倒をみてくれる佐倉君から、さっきと同じ、お塩のジュースを受けとった。
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