危険な誘惑にくちづけを
 
「この声を彼氏に聞かれたり、写真をネットでばらまかれたくなかったら。
 なんて。
 下品な悪役みたいなマネは、したくなかったんだけど。
 春陽ちゃんが、とってもウソつきだから、いけないんだよ?」

「さ……佐倉君!」

「そんな顔しなくても大丈夫。
 オイラ、とっても優しいから。
 自分の彼女を傷つけるコトは、絶対にしないんだ。
 春陽ちゃんが、オイラのモノになったら、すぐ。
 全部を消してあげる」

 言って、佐倉君は笑った。

「だから、この声や写真が消えるのも。
 そんなに遠い未来じゃないよね?」

「佐倉君!」

「なぁに?
 一言いってくれたらいいんだよ?
 佐倉君が欲しい。
 わたしをめちゃくちゃに抱いて、って言ってくれたらいいんだから……!」

 あははは!

 と、佐倉君は、声高く笑うと。

 携帯を見せびらかした。

「……今から、する?」

「莫迦……!!」

 目の前の携帯を、奪い取ろうとしても、あっさりかわされ、佐倉君は、玄関で靴を履きながら、狼の顔をして、笑う。

「明日からも、ちゃんと学校に来ないと許さないよ?
 これから、とっても楽しくなるんだから」

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