マリッジ×鬼ごっこ☆
あと5ミリ。


あと5ミリ近づけば、唇が触れる。


その時。


「りょ〜が〜!帰ってたの?」


玄関の扉が開くのとほぼ同時に、女の人の声がした。



「あ〜ぁ、いいとこだったのに。」


そう言って、凌河はわたしから離れ、リビングと廊下を遮るドアに向かった。


「続きはまた後で、楽しみにしとけよ。」


ドアの前で振り返り意地悪く笑ながら言った。


「誰も楽しみにしてません。」


顔を真っ赤にしながら言った。


なんて、説得力のない言い方。


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