砂に書いたアイラブユー
「嬉しい」


 彼女の笑顔を見て、僕が一瞬間を置き、


「――またあの海に行こうな」


 と言った。


「ええ。またあの町に戻ってこられるのを楽しみにしてるわ」


「それまではしっかり頑張れよ」


「分かってる」


 奈々がそう言い、ターミナルへ向けて歩き始めた。


 僕は思わず抑えきれなくなり、駆け出して彼女を後ろから抱きしめ、キスする。


「他人が見てるわよ」


「関係ないよ。愛情表現だって思って」


「うん」


 僕たちはしばらく抱き合ってから、互いに離れていくと、奈々の香水の香りが漂ってき
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