砂に書いたアイラブユー
 脳裏に鮮明にイメージしていたあの青と。
 

 そして自転車を駐輪場に停めた奈々が海に向かって歩き出す。


 立ち居振る舞いは二十三歳の女性のそれを思わせるに十分だった。


 僕も後から付いていく。


 奈々が、


「駿一」


 と僕の名を呼ぶ。


「何?」


「ここでキスして」


「キス?」


「ええ。愛情が確かめられるようなディープな感じの」


「分かった」


 僕は彼女に追いつき、抱きしめた後、ゆっくりと口付けた。
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