砂に書いたアイラブユー
 ただし海から上がると、傘の下で日差しを避けながら、寛ぎ出す。


 夏場の海に入ることで、かなりの程度体力を消耗すると感じて、だ。


 そして僕も奈々もその日、海から上がると、疲れを覚えながらパラソル下に佇み、体を休める。


 僕たちは手を握り合っていた。


 いくら気温が上がっていて、蒸し暑さが増しても、繋いだ手を決して離さない。


「まだ夏休みが続くよね?」


「ええ。大学の夏休みって無駄に長いからね」


「君は後期の授業、何か期待するものってある?」


「うーん、どうだろ……あたし、学校の授業ってあんまり好きじゃないのよ。別にこれと言って受けたい授業ってないし」


「俺もね、その辺結構シビアに考えてるんだ。最初一、二回行って、つまんないなって思ったら絶対に行かないしね。特に出欠取らない授業はね」


「あたしもそう。別に行っても意味がないって思えば、行かないし」

< 12 / 119 >

この作品をシェア

pagetop