砂に書いたアイラブユー
 二人とも同じ想いなのだから……。


 ふっと奈々が漏らす。


「……お盆が終われば、夏も逝くわね」


 その呟きに、僕も同感だった。


 夏は過ぎて、季節は着実に晩夏へと向かっているのだ。


 僕たちは二〇〇九年の暑い夏も終わりに近付いているのを感じていた。


 お互い物足りないところもあるにはあったが、僕たちは付き合い出してから、ある程度時間が経っている。


 僕がふっと起きて海岸へと行き、砂の上に「アイラブユー」と英語で書く。


 それも打ち寄せては返す波にすぐに消されてしまうのだった。


 そして僕たちは夏が終わると、また平常通り学生生活へと舞い戻る。


 僕は普段学習塾に非常勤講師として勤め、奈々はスーパーで働いている。


 お互い、時間を割いて会っているのだった。

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