砂に書いたアイラブユー
第4章
    4
 座っていたデッキチェアーには、互いに汗が染み出ていて、濡れている。


 僕も奈々も水着姿でいたのだが、迸(ほとばし)る汗の感触だけは免れられない。


 そして二人で椅子の上から水平線の彼方を見つめていた。


 海は一際青く、澄んでいて、僕が、


「これが今年の夏の海の見納めになるかもね」


 と言うと、奈々が頷いた。


 僕は水を入れて、持参していたペットボトルの栓を捻り開け、軽く呷る。


 ゴクリゴクリ……。
 

 喉奥に残っていた熱さが少しは冷えた。


 奈々もボトルに口を付けて飲む。


 海辺なので、時折涼しい風が吹きつけてきて、僕たちを優しく包み込んでいた。
 

 僕たちはその日、海を眺め続けた後、起き上がって唇同士を重ね合う。

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