砂に書いたアイラブユー
 長い時間を掛けて愛し合った。


 人が見ていないのをいいことに、僕と奈々が口付け合い、求め合う。


 刺激するとたちどころに感じてしまう部位に愛撫を繰り出しながら……。


 おそらく愛し合うというのはこういった行為を差して言うのだろう。


 僕も奈々も遠慮なしに刺激し合いながら、普段から溜まっていたストレスを発散させた。


 今の若者は僕たちのように衝動的に求め合うことが多いのだ。


 ただ、愛し合えるという。


 そして愛情が深まれば蟠(わだかま)りもなくなり、抱く手も自然と強くなる。
 

 僕たちは抵抗なく、抱き合い続けた。


 水平線に太陽が沈む頃、僕も奈々もビーチを後にし、駐輪場に停めてある、乗ってきていた自転車に跨(またが)る。


 ペダルに足を置いて、漕ぎ始めた。
 

 もちろん、夜間なのでライトは点灯させたままだ。

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