砂に書いたアイラブユー
 僕は自転車で自分の部屋へと向かうつもりでいたが、奈々が、


「今日は一緒にいたい」


 と言って、町の中にある自宅マンション近くのT字路まで来ると、


「今夜は一緒にいようよ」


 と重ねて言い、僕を部屋に呼ぶつもりでいるようだった。


 いわゆるお泊りというやつである。


 僕は愛する彼女の家に泊めてもらうのだから、全くと言っていいほど違和感がないのだが、奈々もその夜は燃え盛るように熱い気持ちでいるようだ。


「分かった」


 僕が奈々の言葉にそう返すと、彼女が、


「嬉しい」


 と言って、自宅に向かい自転車を漕ぎ続けた。


 丸々一日海辺にいたので、磯の香りが付いている。

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