砂に書いたアイラブユー
 僕も奈々も帰ってきてすぐにシャワールームへと入っていき、冷たいシャワーを出しっぱなしにして体に掛け、においや汚れを残らず洗い落とした。


 二人きりでシャワーを浴びる。


 少し真水に近いぐらいの温度まで下げて。


 体に掛け合いながら、バスルームからガラス戸一枚越しに夜の帳(とばり)が下りているのを感じていた。


 一日が終わっていくのが分かる。


 僕たちは風呂から上がり、リビングで奈々が冷蔵庫から持ってきていた缶ビールを受け取って、プルトップを捻り開けた。


 三百五十ミリリットル入りのレギュラー缶だ。


 僕も本音を言えば、ビールだったら一日に三缶ぐらいは軽く飲み干してしまうのだが、その日は奈々に遠慮して、一缶に留(とど)めておいた。


 アルコールが入ると、自然と語り合いが始まる。


 同じベッドに横になって。


 そして二人で飽きるまで語り合った。
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