砂に書いたアイラブユー
 口付けを交わす。


 軽めに入って、何度も繰り返し繰り返し、まるで奪い合うように……。


 僕と奈々は町の中にキャンパスがある大学に在籍していたのだ。


 出会ったのは今から二年前の春で、僕たちは互いに十八歳だった。


 北陸から九州まで出てきていた僕と、偶然だが北陸地方の隣県から来ていた奈々――、僕たちは出会ってすぐに意気投合し、愛し合い始める。


 僕たちは互いに違うアパートに住んでいたのだが、すぐ近所なのでいつでも会いに行けた。


 事前にケータイのメールをやり取りして、空いた時間を見つけてから、僕たちは会っていた。


 最初に会ったのは一年生の春先で、ちょうど桜が咲いていた頃だ。


 僕たちはキャンパスから少し離れた場所にある喫茶店でお茶を飲みながら、いろんなことを話していた。


 二人とも文学部なので、文学や文芸などで話が合う。


 科目登録もネットで済ませていて、前期の授業が始まるのを待つだけとなっていた。
< 2 / 119 >

この作品をシェア

pagetop