砂に書いたアイラブユー
 吐息が漏れ出る。


 日差しが徐々に激しくなり始めた。


 僕も奈々も体の節々の筋肉を解(ほぐ)しながら、キッチンに佇む。


 彼女は食パンを三枚焼き、カットしたソーセージと溶いた卵を混ぜ合わせ、スクランブルエッグを二人分作った。


 付け合せに野菜サラダを二人前作る。


 コーヒーをアイスで淹れて、食卓を飾ると、ふっと漏らした。


「……いつも一人で食べてるから、寂しいのよね」


 それは奈々が僕に傍にいて欲しいという、半ば懇願のようなものだ。


 僕が黙ったまま、首を縦に振り頷くと、彼女が、


「嬉しい」


 と言って、笑顔になる。


 僕はスッピンでも相当綺麗な奈々の横顔を見つめながら、朝の時間を送った。

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