砂に書いたアイラブユー
 お湯が沸くまでガス台の方を見つめながら、僕は大きく息をつく。


 それが溜め息へと変わった瞬間、


「駿一」


 と、奈々が電話越しに僕を呼ぶ。


 ――何?


「黙ってたんだけど、あなたの連載作品、読んでるわよ」


 ――ああ。今ブログでアップしてるやつだろ?


「ええ。結構反響あるみたいね。アクセス数も多いみたいだし」


 ――うん、お陰様でね。


「今度会うのはいつになる?」


 ――そうだね。……今日が九月二日だから、後期が始まる二週間後ぐらいかな?


「そんなに会えないの?」


 ――うん。俺もいろいろと取り込んでてね。
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