砂に書いたアイラブユー
 今の大学でも彼女は相当成績優秀だ。


 僕と違って。


 ただ、奈々はここに埋もれる気は更々(さらさら)ないらしく、東都大か京阪大(けいはんだい)辺りに行きたいらしい。


 二十歳――、それはまだまだ可能性を試すには十分な年齢だ。


 僕たちは夢が大きかったし、あまりにも欲張りすぎた。


 これから先、いくらでも試練があると思うのだが、僕も奈々もそういったハードルを飛び越えられると思っていた。


 それに今得ている知識だけでなく、まだまだたくさん勉強したいのが本音だ。


 これは決して今の状況に満足していないという証拠でもある。


 そして一年とちょっとが経って、僕たちは互いにどうなるのか、先を見たかった。


 一年半後の自分――、一体どうなっているのか分からない。


 多分奈々は海外留学のメドが立っていると思うし、僕はネット作家として、下手するとそれを飛び越え、恋愛小説界の若き旗手になっているかもしれないからだ。

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