砂に書いたアイラブユー
 そして僕は町の本屋が開く午前十時前に、いったん部屋へと戻り、整髪剤で髪の毛を整えた。
 

 ガイドは一冊が五百円ぐらいだ。


 それにその年の新人賞のことが事細かに載っている。


 僕はそれを見ながら、今後の公募の日程を立てる気でいた。


 本屋に着くと、ガイドのあるコーナーに行き、一冊手に取る。


 そしてパラパラと捲り、そのガイドで間違いないことを確認してから、レジへと向かった。


 五百円というワンコインで将来の夢が買えるかもしれない。


 だが、作家を目指すことが難しいのは分かっていた。


 僕はひとまず来年一月中旬に締め切りの日本ミステリーノベル大賞に公募することに決めた。


 上限が四百字詰め原稿用紙換算で五百枚で、応募するには適量だった。


 ミステリーやサスペンスはなかなか簡単に話が纏(まと)まらない。

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