砂に書いたアイラブユー
 軽く、嗜(たしな)み程度に、だ。


 そして僕はその日の夜から、夜勤のアルバイトをし始め、真夜中に起きている生活を送った。


 以前勤めていた学習塾からは何も言ってこない。


 僕自身、別にどうでもよかったのだ。


 塾は警備会社の夜勤よりも幾分早いのだが、ほぼ同じ時間帯にある仕事なので、掛け持ちは出来ない。


 さすがに夜起きていると、疲れてしまう。


 坂上と交代で、僕は仮眠を取った。


 職場に二人しかいないので、夜はシーンと静まり返っている。


 坂上が僕にホットコーヒーを一杯淹れてくれた。


「塚原君、苦いかもしれないけど、このコーヒー飲んで目覚ましな」


「はい」


 僕が頷き、淹れてもらったコーヒーを啜る。
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