砂に書いたアイラブユー
 教授や准教授などは授業に託(かこつ)けて、いい加減なことを喋り捲るのだ。
 

 僕も奈々も大学に入ってから二年以上経つが、やはり学校に違和感を覚えていた。


 文学部など所詮は実社会で使えない知識を勉強するためにあるようなものだ。


 僕も奈々もその辺りは十分心得ていた。


 つまらない授業には最初から出ない――、互いに暗黙裡にそう決めていたのだ。


 そしてそういった感じで授業をズル休みすることもたびたびあった。


 僕は目の前にいる奈々をじっと見つめている。


 二人で過ごす夜を楽しみにしながら……。


 注文していた二人分の料理がテーブルに届き、僕たちは食べ始めた。


 海の家の中はクーラーがフルに稼動していて、おまけに扇風機まで回っているので、少し寒いぐらいだ。


 ただ、僕たちの夏はまだまだ終わってはいない。


 互いに燃え盛るような夜を期待していて……。

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