砂に書いたアイラブユー
「しばらくは会わない方がいいかも」と。


 その矢先、彼女からメールが入ってくる。


 四月の第一週の、桜の花が咲き乱れる季節にキャンパスのカフェで会わないかという……。


 僕は了解のメールを打ち、久々に奈々と会った。


 彼女はすっかり大人びていた。


 二十一歳の女性として。


 おまけに高い目標を控えて、毎日を送り続けている人間として。


 カフェで会った後、僕は奈々のマンションへと向かうつもりでいた。


 大切なのだ。


 彼女の何もかもが。


 本当に心から愛おしいと思えるのだから……。




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