砂に書いたアイラブユー
「うん。あたし、夏まで待てそうにない」


「じゃあ、行ってみようね」


 僕が頷き、二人で自転車に乗って、海まで行くことが決まった。


 カフェの出入り口のレジで各々コーヒー代を支払った僕たちは歩き出す。


 これから互いのマンションに行き、自転車を用意して、海まで漕ぎ出すつもりでいた。


 春なので温かく、辺りの気温は上がっている。


 僕たちはキャンパスの正門前で待ち合わせることにして、いったん別れ別れになり、歩いていく。


 そして別れてからほんの十五分ほどで、僕たちは正門前の、学生たちがたむろしている場所に辿り着いた。


 互いに自転車に乗っている。


「行こう」


 僕が声を掛けると、奈々が頷いた。


 僕たちは自転車のペダルに足を置いて、漕ぎ出す。
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