砂に書いたアイラブユー
「お休み」


「お休みなさい」


 互いに言い交わしてから、僕は自宅マンションへと帰り始めた。
 

 奈々も自宅へ向かっている。


 明日、彼女はいつも通り図書館に通うらしく、朝早起きするはずだ。


 僕も新作に取り組むつもりでいた。


 お互い時間を空け、会う前は必ずメールか電話で連絡を取り合ってから、僕たちは会っている。


 これはどんな男女でもカップルである以上、必要なことだった。


 約束を取り付けるという……。


 まあ、僕たちみたいに近所に住んでいるのだったら、そういったアポイントメントのようなものは要らないのかもしれなかったが……。



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