ソラの神
 今度はどんな罰を下されるのか。硬く目を閉じて罰を待っている、ソラであった。

 ところが、そんなソラを待っていたのは師匠の意外な動きだった。

 師匠はソラの頭の上に手を乗せると、噛み締めるようにゆっくりと言葉を紡いだ。

「ソラ。お前は、魔法で空の上に飛んで行きたいと思っているね」

「はい。師匠」

 ソラは何故か、その師匠の言葉に淡々と答えていくのだった。

「では、何故、空の上に飛んで行きたいのかね?」

「それは…………空の上に、神様が居るからです。神様に会いたいから、です」

 暫しの逡巡の後にソラはゆっくりと確実に答えていく。不思議と抵抗感は無かった。

「何故、神様が空の上に居ると思うんだね?」

「それは、神様を見たからです」

「神を見た」

 その答えが意外だとでも言うように、師匠は一旦そこで言葉を区切った。

「神様は、居ないんだよ。少なくともこの空には」

 師匠はゆっくりと言い聞かせるようにソラに言った。

「ソラ。真実を見るんだ」

 そう言うと、師匠はソラの額に人差し指を当てそのままの姿勢で何事か呪文を呟いた。すると人差し指の先が淡く光り、ソラの額から全身を包み込んだ。ソラは、淡い光の繭に包まれた――。

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