あなたが触れる度に


結局すぐには決められなくて、
今日のうちに電話は出来なかった。


名刺を定期にしまい込み、
鞄にしまった。


壊れ物を扱うように、
ゆっくりと。




「菜々〜、今日バイト?」


「ううん。今日は無い。美紀は?」


「私も無いんだ〜。じゃあ夕飯食べようよ♪」


そう言って美紀は携帯のある画像を私に見せた。


「ここ、行ってみたかったんだ!付き合って?」


にこにこ笑う美紀に


「いいよ。」


こう答えるしかない。


美紀は「やった〜♪」と
私に抱きついた。


可愛いな、美紀。


小柄でキャピキャピしてて、
素直で。


私は、わりと背は高いし、
クールって言われがちだし、
…素直じゃない。


て、比べたって仕方ないけれど。


こういう自分は黒すぎて嫌だ。



< 12 / 67 >

この作品をシェア

pagetop