あなたが触れる度に
結局すぐには決められなくて、
今日のうちに電話は出来なかった。
名刺を定期にしまい込み、
鞄にしまった。
壊れ物を扱うように、
ゆっくりと。
「菜々〜、今日バイト?」
「ううん。今日は無い。美紀は?」
「私も無いんだ〜。じゃあ夕飯食べようよ♪」
そう言って美紀は携帯のある画像を私に見せた。
「ここ、行ってみたかったんだ!付き合って?」
にこにこ笑う美紀に
「いいよ。」
こう答えるしかない。
美紀は「やった〜♪」と
私に抱きついた。
可愛いな、美紀。
小柄でキャピキャピしてて、
素直で。
私は、わりと背は高いし、
クールって言われがちだし、
…素直じゃない。
て、比べたって仕方ないけれど。
こういう自分は黒すぎて嫌だ。