あなたが触れる度に
*3
思いがけない来客に、
息を飲んだのは言うまでもない。
「ねぇねぇ、菜々ちゃん。あの人かっこよくない?」
「え、誰ですか?」
「ほらっ、あそこよ!一番右端の席の人!」
バイト先の先輩の篠崎さんが
私の後ろからこそっと耳打ちする。
「右端ー…?」
危うくコーヒーカップを落とすところだった。
―楠本さん!?
そうなんです。
楠本さんが、私のバイト先に現れたのです。