あなたが触れる度に


「どうして…」


「え!菜々ちゃん知り合いなの?」


「あーいや、知り合いというか…」


その時だった。
バレないように、覗いていたのに。
カウンターからこっそりと。


右端の席に座っていた楠本さんは、私と目を合わせると


ゆっくりと腰を上げた。


スラリと長い手足。
小さな顔。


そんで、イケメン。


「ちょっと!こっち来たわよ!」

篠崎さんはもう興奮気味。


私はどうすればいいかわからず、取り敢えずコーヒーカップに目を落とした。



「こんにちわ。菜々ちゃん。」


さて、どうしよう。
顔が上げられない。


「こん…にちわ。」


ちらりと見上げると、


楠本さんはにっこりと微笑んだ。




< 17 / 67 >

この作品をシェア

pagetop