あなたが触れる度に
楠本さんは、私を駅まで見送らなかった。
その代わりに、車で送ってくれた。
今隣にいるのが楠本さんというだけで、胸は高鳴った。
車に乗るのは、馴れてるはずなのに、
今はどこを見ればいいのか解らなくて、流れる景色を必死に追った。
なんとなく運転する姿が見たくて横を見ると
楠本さんと目が合った。
「ん、なに?」
「な、なんでもありません!」
「ふ〜ん。」
楠本さんは何が可笑しいのか、
クスッと笑った。
「何笑ってるんですか!」
「別に〜。菜々ちゃんて、俺といるとテンパってばっかだなって。
もっとリラックスしていいのに。」
そう言って目を細めて笑った。
こんなイケメンに、こんな笑顔されて
テンパらずにいられないよ。