あなたが触れる度に
「ねぇ、菜々ちゃん。」
「何ですか?」
「彼氏さん、どんな人なの?」
「…え?」
目の前の信号が赤に変わる。
車は停止して、いきなり2人の空気が流れ出した。
「どんな人って…?」
「だからー、優しいとか、変な癖があるとか?」
「変な癖って何ですか!」
私はついつい可笑しくて笑ってしまった。
「気になるんだよ。」
「…へ?」
「なんか…気になっちゃうんだよ。
彼氏には、きっと今みたく笑ってるんだろうな、とか。」
楠本さんは真剣な眼差しで私を見た。
「俺、菜々ちゃんのこと、好きなのかな?」