あなたが触れる度に


「菜々ちゃんを見たとき、この子だ!て思った。


もう一度言う。
この店の最初のカットモデルになってほしい。」


いつしか真剣な眼差しに変わっていた。


この店の最初のカットモデル…


だから、楠本さんはあんなに必死に説得をしたのか。


私は、やっぱりカットモデルが終了したら用無し?


…何考えてんだ、私。


そんなの当たり前じゃん。


だけど、だけど…


「私は…カットモデルの為だけの…存在…?」


「えっ?」


「それが終わったら…私は…いらないですよね…」


「…菜々ちゃん…?」


なに、言ってるの?


楠本さん、困ってるじゃん。


なのに、言葉は止まらない。




< 37 / 67 >

この作品をシェア

pagetop