あなたが触れる度に


私が必死に雅樹の体を掴むと、
雅樹が一瞬反応した。


力が弱まったのがわかった。


「雅樹…ごめんね…私のせいなの!」


「…ごめんね…て、何?」


雅樹がゆっくりと振り向いた。


その顔は、怒りに満ちている。


こんな顔、初めて見た。
そうさせたのは、私だ。


「…菜々…どういう意味だよ!」

「やめろよ!」


今度は楠本さんの声が真っ白なサロンに響いた。


「菜々ちゃん、恐がってるだろ?声をかけたのは俺だ。悪いのは菜々ちゃんじゃない。」


すると突然に雅樹は私の手を握った。



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